岩石から山をみてみよう VOL.03 「花崗岩 堅い?脆い?」
山の景観を形作る主役と言えば花崗岩でしょうか。大岩壁や岩峰をつくるかと思えば、風化した砂礫を形成します。北アルプス燕岳のイルカ岩をご存知ですか。
兵庫県六甲山塊にある芦屋のロックガーデンは昭和初期からクライミングの名所で有名ですが、今は風化の激しい景観を楽しむハイカーが絶えることがありません。
御影という地名があります。古くは住吉村と呼ばれ、現在の東灘区にある荒神山(海抜314m)から切り出されて全国に運ばれた花崗岩が全国に運ばれていました。これが御影から運ばれた花崗岩なので「御影石」です。今では切り出されなくなりましたが、地中深くには埋まっていることでしょう。
花崗岩を構成する主な鉱物は石英、長石、雲母です。恵那駅から木曽川沿いの恵那峡、ここにある傘岩は国指定天然記念物の奇岩です。黒色雲母花崗岩が風化して堅い部分が残ったようですが、絶妙のバランスですね。
北山公園や荒地山の大岩はボルダリングを楽しめるスポットです。
これらは硬く緻密な部分が風化から取り残されてできました。
これら石英・長石・雲母などの鉱物は温度に対する膨張率がそれぞれ違うので、温度変化や凍結、霜の作用によって地表付近の岩には割れ目が生じやすいのです。
一度割れ目が生じると、雨水が割れ目を伝って入っていきます。雨水は大気中の二酸化炭素を含んでいて、長石と雲母は二酸化炭素に出会うと粘土に変質します。風化に強い石英が残されます。
これが「マサ土」と呼ばれるものです。このマサ土は水に対する抵抗性が小さく、強い雨が降るとしばしば山崩れを発生します。
独特なオブジェの様な岩峰で有名な燕岳の稜線は白い砂礫に覆われています。ピンクのコマクサが映えますね。富山県立山にある真砂岳は、まさにマサ(真砂)化した砂に覆われています。
これらの山域では、なだらかな丸みを帯びた稜線になることが多いのです。
この夏確認してみてくださいね。地形と地質、そこに生える植物には関連があります。
皆さんの知的好奇心と頂上に立つ喜びをお手伝いします。
★ 北岳~間ノ岳~農鳥岳縦走 7月16日(月) ~ 7月19日(木) 3泊4日
★ 北縦走路から古の道へ とっておきの花園を巡る白山 7月27日(金) ~ 7月30日(月) 3泊4日